2013年度NTセレクションレース レースレポート

2013年度NTセレクションレース レースレポート

期間:3/4~6

場所:浜名湖

<NT セレクション1日目>
今大会は7月下旬から8月上旬にポーランドで開催される世界選手権への派遣選考も 兼ねており、学連内外の精鋭達が集まった。前日の新人戦吹きレースでスイッチが入っ た選手が多かったのであろうか、大会初日の朝、浜は緊張した面持ちでセッティングす る選手、音楽を聞きながら集中する選手達の静けさに包まれていた。

... 1レース目:風向230°、1~3m/s
波乱の幕開けと言っていいだろう、スタートゼネラルリコール後にブラックフラッグルー ルが適用され、いきなり2012年度 NT 関西学院3年小森、来年度より学連での活躍も 期待される成長株の関東学院大(現在はセブンシーズ所属)伊東らが失格となってしまう。 そんな第一レースの1上を制したのは左のブローをいち早く掴み、圧倒的なパンピングで 他を圧倒した滋賀県立大3年鈴木。その後に団体個人優勝の同じく滋賀県立大3年中村、 早稲田大3年濱、今期 NT 入りを決めている明治大3年中島が続く。 その後も上位選手は左に降りてくるブローを繋ぎ、フィニッシュは鈴木、中村、中島、濱 の順となった。 レディースは一上からの順位を守り、他を圧倒するパンピングで青山学院大3年岡本、横 浜市立大3年五十嵐が第一レース好スタートを切った。

2レース目:風向230°、2~5m/s
少し風が入り始めたレースとなったが、ここでも波乱が起きる。前レースを2位でフィニ ッシュした中村がリグトラブルでまさかの第二レース棄権。今後のリザルトに大きな影響 が出るかと思われる第二レースの1上を制したのは微中風でのレース運びに定評がある濱。 多くの選手が左海面へ伸ばす中、冷静に右のスタボーリフトをつなぎトップで回航、その 後に小森、レディースながら3位回航の五十嵐、伊東と続く。 多くの選手がブロー繋ぎに苦戦する中、抜群のタイミングで左右のブローをつないだ伊東 が順位を上げトップでフィニッシュ。続いて小森、レディーストップ五十嵐、逗子を引っ 張る女主将、法政大2年高橋と続いた。

3レース目:風向230°、4~7m/s
風も徐々に上がり始め、レグを伸ばしてからのスタートとなった第3レース目。 スタート前から左奥にブローが入り始め、上有利でもあったことから多くの選手が上スタ ートからの左海面での展開を狙う。 一上を制したのは左海面を繋いだ小森、続いて抜群のスタートで飛び出した鈴木、中村、 琉球大3年仲宗根と続く。 二上も多くの選手が左海面を使うが、ガスティ海面はそう寄せるだけでは簡単には走れな い。風軸も徐々に右に振れ順位変動も激しい中、中村、伊東、琉球大3年松村、甲南大3 年大塚、2年生レディース高橋はタックポイントが光りジャンプアップ。フィニッシュは中村、鈴木、小森、2012年度 NT 同志社内園と続き、レディースでは上智大3年三輪 が安定したブロー繋ぎで上位をキープし、レディーストップでフィニッシュした。

4レース目:風向300°、5~8m/s
大きく右に振れ、マークを打ち直して迎えた第4レース。スタート前は上有利もスタート 直前には下有利に変わり、多くの選手が左海面で展開するレースとなった。一上を制した のは神奈川大学1年大久保。続いて本日絶好調の滋賀県立大コンビ中村、鈴木、そして伊 東と続く。しかしこのレースもブロー差が激しく、ブローの繋ぎ方一つで大きく順位が変 動する。中でも抜群のブローつなぎを見せたのは小森、インカレ個人・団体と入賞した京 都大3年田中だ。フィニッシュは冷静に左右のリフトを掴んだ小森、鈴木、中村、中島、 田中と、新4年生陣が経験の差を見せつけた。 レディースでは一上から五十嵐と三輪が激しい攻防を見せ、アンダーバトルを制した三輪 がこの日二本目のレディーストップフィニッシュ。 レディースも二枠を争うセレクション初日は混戦のまま2日目を迎えることとなった。

<NT セレクション2日目>
初日4レースを終えて関西学院大小森、滋賀県立大中村がポイントで抜け出すがそれぞれ カットレースで BFD、DNC を抱えている。このカットレースが2日目終了時のリザルト にどう影響するのか。

5レース目:風向230°、風速12~14m/s
大型低気圧の影響で稀に見る強風下の中行われた第5レース。レース参加にゲート通過を 必要とする、サバイバルレースとなった。その第5レースを抜群の艇速で1下まで制した のは明治大の大型2年生工藤。左奥の強烈なブローをポートで活かした。しかし、2上で 抜群のスタートから2位につけていた関東学院大(セブンシーズ)伊東が冷静に右へのシ フトを読み切りトップフィニッシュ。その後、工藤、滋賀県立大鈴木、琉球大松村と爆風 を得意とする選手が上位に顔を揃えた。 Z 期掲揚時は10m/s 程度であり、多くのレディース選手もゲートを通過したが、レース が進むにつれ風が上がったためフィニッシュ出来た選手はいなかった。

6レース目:風向270~290°、風速7~10m/s
5レース目の状況から運営の判断で、メンズのみの出艇で行われた第6レース。 前レースのブローの入り方から、多くの選手が左海面で展開し、アプローチを右から周期 的におりてくるスタボーリフトで上手くのせた選手が上位をキープし、フィニッシュは明 治の中島。2位以降に松村、伊東、内園と続いた。このレースでトップを争いながらもカ ットレースを抱えていた小森、中村がポイントをまとめられず、上位は非常に混戦となっ てきた。

7レース目:風向270°、風速7~9m/s
若干風も落ち着き、レディースも再び加わった第7レース。前レース同様、左の大きなブローで右へ展開し、周期的におりてくる右のスタボーリフトにあわせてアプローチをとっ た選手が上位を走る。このレースも中島が安定したレース展開で序盤からのトップを維持 し連続のトップフィニッシュ。松村、鈴木、工藤と強風下の艇速に定評のある選手が続い た。 レディースでは去るインカレ個人戦でも吹きの実力を全国に知らしめた横浜市立大五十嵐 がトップフィニッシュ。多くのレディース選手が強風に苦戦する中、混戦のレディース枠 で頭一つ抜け出した。

8レース目:風向270°、風速8~10m/s
順位変動に大きな影響が出た第8レース。ここで上位をキープしていた団体戦個人優勝の 中村がまさかの体調不良でリタイヤ。激動の大会二日目を締めくくるこのレースの1上を 制したのは、強風下で学連屈指の艇速を誇る松村。続いて伊東、京都大3年藤本が追い上 げを狙う。二上では右のブローを上手く掴んだ松村、伊東が3位以下を大きく引き離しフ ィニッシュ。中島、鈴木が続き、上位をキープした。 レディースでは前レースに続き五十嵐がトップフィニッシュ。他のレディース選手がリザ ルトをまとめられず苦しむ中、最終日に向けて大きなアドバンテージを得ることとなった。

<NT セレクション3日目>
前日までの8レースでリザルトをまとめた滋賀県立大鈴木、関東学院大(セブンシーズ) 伊東が混戦から抜け出すも、伊東は第一レースの BFD がどう影響するか。泣いても笑って もラスト4レース、世界と戦う学連代表メンバーの枠をかけた熱いドラマがあった。

9レース目:風向270~280°、風速6~8m/s
多くの艇が左で展開する中、冷静に左右のリフトを繋いだ伊東、明治大3年水野、滋賀県 立大中村、関西学院小森がレースを引っ張る。ブロー差が激しい海面の中、しっかりと左 右で繋いだ伊東、水野、中村、小森、滋賀大2年遠藤の順でフィニッシュ。タックポイン トが順位変動に大きく影響するレースとなった。 このレースで前日に大きく順位を落とした小森、中村が NT 入りへ望みをつないだ。 レディースでは法政高橋が落ち着いたブローつなぎで14位とレディーストップフィニッ シュ。続く横市五十嵐も17位とまとめ、NT 入りへ大きく近づいた。

10レース目:風向270°、風速7~9m/s
少し風も上がった第10レース。多くの艇が左海面で展開し、中でも絶妙のタイミングで ポートリフトを繋いだ中村、明治大中島、伊東がトップを争う。2上ではより左のブロー が入ってくるようになり、右で展開した艇団は大きく順位を落としてしまった。この海面 を読み切った中村がトップフィニッシュかと思われたが、最終マークで痛恨のアプローチ ミス。伊東、中島、中村、甲南大大塚の順でのフィニッシュとなった。 レディースではやはり強風下で群を抜く五十嵐が、多くのメンズを抑え13位と圧巻の走 り。2位以下を大きく引き離し、NT 入りをほぼ手中に収めた。
その後同志社大3年堀野、上智三輪と続き、高橋が大きくリザルトを崩したため、レディ ースの残り一枠はさらに混戦となった。

11レース目:風向270~280°、風速7~9m/s
スタート下有利から抜群のプレーニングスタートを切ったのは小森、スタートでミスが出 た中島、中村、京都大田中といった有力選手は右へ展開せざるをえない状況となった。し かし、スタート後に右に振れ始め、右海面に強いブローが入り始めたため、中島、中村、 田中は1上をシングル回航。1下までは琉球松村がトップをキープするも、フィニッシュ は2上で右への触れに気付いてスタボーリフトを繋いだ中村、中島、大塚、遠藤の順でフ ィニッシュ。この時点で鈴木の NT 入りが確定し、残りのメンズ3枠は最終レース次第と なった。 レディースは五十嵐がこの日2本目のトップフィニッシュでレディースクラス優勝を決め る。その後、堀野、早稲田大2年白木と続き、レディース最後の1枠も最終レースへ持ち 越されることとなった。

12レース目:風向270~280°、風速7~9m/s
メンズは残り3枠をめぐる戦いに4位~12位までの選手、そしてレディース残り1枠も2 ~5位の選手全てに可能性があり、ほとんどポイント差は無い。 極限の緊張感と闘争心の入り交じる最終レース、このレースを抜群のブローつなぎでリー ドしたのは伊東、そして11レース目までリザルト暫定8位の立命館大3年栗田。左のポ ートリフトを最も効率よく繋ぎ、2上では右へのシフトを見逃さなかった2人が3位以下 を大きく引き離しフィニッシュ。
その後は中島、内園と続き、内園はこの時点で NT 入りを確定させた。 レディースは五十嵐が前レースに続いてトップフィニッシュ。そして手に汗握る攻防を制 し、堀野がレディース2位でフィニッシュし、最後の一枠を勝ち取った。

3日間12レースの結果、インカレ個人戦で NT 入りを決めた板庇雄馬(立命館大学:2 年)、中島潤(明治大学:3年)に、

鈴木郁也(滋賀県立大学:3年)
内園拓也(同志社大学:3年)
栗田貴宏(立命館大学:3年)
松村恭寛(琉球大学:3年)
五十嵐友紀(横浜市立大学:3年)
堀野舞歩(同志社大学:3年)

の6名を加えた、計8名が2013年度 JUBF National Team メンバーとなった。
加えて、上位通過した鈴木、中島、内園、五十嵐には Bic Sport Japan 様よりポーランドで行われる Techno293 世界選手権への助成金の贈与と同大会出場規格である 8.5 m²サイズのリグセ ットおよび 50cm フィンの貸出を受ける。この規格は新設されるオープンエイジ枠(年齢無制限)、Techno293 plus class のもので、今後世界の同年代で盛り上がると予測される。
今回 Bic Sport Japan 様より援助を受けた JUBF Natonal Team のメンバーは世界選手権の 表彰台に立つことができれば、その選手の所属する大学に Techno293 コンプリートセット が贈与されることが決まっている。これも Bic Sport Japan 様のご厚意であり、援助を受ける上記4名には世界での活躍を期待したいところだ。
また、今大会では4月から関東学院 への入学が決まっている伊東大輝が、見事総合優勝を果たした。今大会の賞与が学連に所 属する選手へのものであった為、ポーランドへの援助とNationalTeam への選出には該当 しない結果となったが、この伊東の優勝は大きな意義があったように感じる。 ウインドサーフィンは大学から始めるものであり、入学前からウインドサーフィンに熱心 に取り組む人が珍しいという日本の学連の風習の中で、今回の伊東の活躍は今後のウイン ドサーフィン界や学連の発展・動向に一石を投じるものであったのではないだろうか。
フィリピンでの世界選手権へ参加させて頂いて感じたのは、やはり大学入学以前からウイ ンドサーフィンに触れる機会、そして世界レベルで戦う意識の選手が身近に多くいること の必要性であった。今回の伊東の優勝により、多くの学連に所属する選手が刺激を受けた ことは間違いないだろう。

2013年度 JUBF National Team のスローガンは“One”
これは学連を一つにまとめ、また学連でトップの実力を兼ね備えたリーダーとして活動し ていくことを意味する。
今年のメンバーには、リオ五輪への種目復活が決まり再び勢いが出始めたウインドサーフ ィン界のさらなる発展への貢献と、諸大会での活躍に大いに期待したい。

2012年度 National Team 副主将 金城隆太郎